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精神疾病の方を支えるということ

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精神疾病と書いてしまうと少し乱暴な気がする。

様々な疾病があり、様々な症状で悩まされている方がいる。

生きづらさを感じていたり、死んでしまいたいと思っていたり。

あなたがもしも何らかの精神疾病を患っているとして、本当に病気と闘えているだろうか。

回復に向けて、何かしらの決意を胸に持っているだろうか。

恐らく、そんな風に上手に思えている人は少ないはずだ。

薬を服用して安定を得る。眠れない夜を無理やりに過ごす。

一番の妙薬は人とのつながりの中にある、と気づいているのに見ないフリ。

さて、今日は僕やあなたのように、無力感に苛まれている人に向けて言葉を連ねたいと思う。

僕はこれを読んでいるあなたに向けて、これを書いている。

優しさと親切の違い

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身の回りのことまでもやってあげたいと思う。

あの人が抱える全ての闇を取っ払って、もう一度笑えたらと思う。

泣き出したりしたって、どこにも行かないし、きっと朝は来ると何度も伝えてあげる。

手首を滲ませる。凄惨な光景も、もう見慣れてしまっている。あなたがどう思ったって、手首を切ればこれ以上の安心感は得られないのだとあの人は言っている・・・ように思う。

何度だって襲ってくる無力感を、あなたはそのたびに押さえつけて、自分よりもあの人を、と今よりもほんの少し頑張ろうとする。

頑張ろうとし続ける。

 

それは優しさではない。

依存心と善意と罪悪感と同情が入り混じった不格好な感情だ。

薄汚れた親切心はあなたの心を疲れさせ、あなたが「支える」あの人を回復から遠ざける。

もう一度言う。

あなたのそれは優しさではない。

言葉は届かない

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どんな包装紙で梱包しても、ラッピングしてもあなたの言葉は届かない。

あなたの言葉は病で苦しむあの人の心を1mmも動かせやしないし、感覚、感情を変えさせることもない。

綺麗ごとが書かれた自己啓発本を読み漁ったって、専門書を穴が開くほど眺めたって、あの人の心に栄養を与える言葉は見つからない。

だけど、繰り返し繰り返し伝えるんだ。

どんなに傷ついているか、どんなに心配しているか、そしてどんなに回復を願っているか。

あなたの言葉ならばなんだっていい。繰り返し繰り返し、近くで伝え続けるんだ。

どこにも行かないし、そばにいる、と。離れはしないし、ここにいる、と。

あなたを一人にはしない、と。だから安心してくれていいよ、と。

繰り返し、繰り返し伝えるんだ。

言葉で心を動かす必要なんてない。感動を与える必要なんてない。

与えるのは信頼と安心感だけでいい。それだけでいいんだ。

そして、あなたがもう一度立ち上がるその姿を切に願っている、と繰り返し繰り返し。

心を動かすのはいつだって誰かの存在が根底にあるものだし。

人の気持ちを考える

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あの人の心の中は自分自身しかいない。

その世界には自分しかいない。

その世界で話題になることはいつも、どれだけ自分が辛いか。どれだけ自分が苦しいか。その表現方法を少しだけ変えて広めている。

しかし、その世界の中はいつまでたっても霧が晴れない。見えないものを手探りで探さなければならない。

花はたくさん咲いていて、風もびゅうびゅう吹くのに、霧で自分しか見えないんだ。

 

人のことを考えてみる。

誰かの痛みを考えてみる。イメージしたその痛みは知っている種類の痛みかもしれないし、知らない痛みかもしれない。

とにかく考えてみる。

他人と自分との距離を考える、関係性を考える、めんどくさくなって、それでも考える。

「自分がされて嫌なことは人にもしない」という格言を小学校の道徳の時間で習った事を思い出す。

他人の中に自分を見る。

自己犠牲といいかっこしい。自己否定と自己完結。自分を大切にすることへのチェックポイント。

 

病で苦しむあの人の意識を変えるにはいつも人の繋がりの中に答えがある。

うまくできないのなら二人で、人の気持ちをお互いに考えあう。

これは人の気持ちを考える練習だ。

本当の気持ちを教えあいながら、信頼と安心感の中で傷つけあいながら、そうして心のほころびをひとつずつ縫っていく作業だ。

チェックポイントをいくつも過ぎて、あの人が誰かのために自分の力を使いたいと思うそのとき、霧は晴れる。

支えるということ

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自分の意志で、病と向き合い、闘う決意を。

自分の意志でもう一度立ち上がり、回復してみせると意気込む。

こう思わせられるように僕たちはときに厳しく、ときに褒めて、ときに必要性を説き、ときに僕たちが感じる痛みを教えながら暮らしていくこと。それが支えるということだ。

理由なんてなんでもいい。

「自分のため」と思えないのなら「誰かのため」でもいい。

自分にサヨナラしなかったのはもう一度魂を取り戻せると、あの人も、あなたも、そして僕たちも思っているからだ。

 

感情を殺さないように、笑って泣いて「ともに生きる」ことが支えるということ。そして「もっとうまく生きる」ための方法を僕たちが提案し、試してみる勇気を与えることが支えるということだ。

昨日の苦悩は明日の個性。

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