今から一年ほど前、ある女性から相談を受けた。
彼女はパニック障害を患い、同時に非定型うつ(新型うつと呼ばれる場合もある)を発症させ、僕に相談をするまで5年間も闘病生活を続けていた。
パニックについては大分回復し、予期不安(次はいつパニックになるだろうと不安になってしまうもの)も収まりつつある。
飲んでいる薬も減薬スケジュールを主治医と組み、カウンセリング等で本人の容態を見ながら進めていくという治療の過程を経て、今現在は苦しいながらも働いている。
しかし、彼女本人は自分の病状、とくに非定型うつについてはまったくといっていいほど理解していない。
患者の病状や診断名、その病気の種類を、こと精神疾病においては本人がきちんと把握する必要性の議論はたびたび行われているが、少なくとも彼女は自分が「うつ」だということしか知らないし、そもそも「うつ」といわゆる「新型うつ」がどう違うのかも恐らくは理解していない。
このような状態では間違った認識を生み、自分自身で謂れのない思い込みへと発展し、考え方を捻じ曲げてしまいかねないと僕は思った。
そこで本人にきちんと一から説明し、あなたはこういう病気だからという言い方ではなく、この病気はこういう病気で、といった具合に断定はせずとも一緒に病状の行方を考える時間を設けた。
そこから一年。
やはり、相手は女性なので気持ちの浮き沈み、変化、若さゆえの甘さなども絡み、一筋縄ではいかない日々が続いたが、僕なりに結論を出せたように思う。
今回はそんなお話。
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