永遠の所在 ベンジャミン・バトン数奇な人生

これほどテーマを追求した映画も珍しい!

初めて見る方はこの映画のテーマに気がつくだろうか。

単なる奇妙なライフムービーとは訳が違う。

人生そのものを現しているようでいて実はもっと緻密な人の感情の揺れ方、出会い、別れ、それについて回る「永遠の所在」これこそがこの映画のテーマである。

産まれたばかりのベンジャミンはその奇妙な体質のせいで老人ホームへと捨てられてしまうわけだが、ここから彼の人生は大きく動きだすことになる。

老人に囲まれ育つ彼は自分の特異な体質に気がつかず育っていく。

生まれつき老人で、歳を取るごとに若返る彼は仲良くなる老人たちと幼くして別れを繰り返し経験する。

ここで人の命は有限であることを学び、徐々に自分の特異な体質にも気がついてくことになるわけだが、その体質が原因で彼は次第に悩み、苦しむことになる。

このあたりのブラットピット演じるベンジャミンの感情が非常によく表現されており、自分がベンジャミンだったらどう思うだろうと感情移入してしまっている自分がいることに気付く。

物語は進み、歳を取り、恋をしてクライマックスに向かうわけだが、幾度となく登場する「永遠」という言葉。

この映画のなかにこの「永遠」というものが果たしてあるのかどうか。

実はかなり序盤から伏線がほどよく貼られており、映画を見終わったあなたはこの映画が投げかけた問いの答えに気づくことになるだろう。

それをここに書いてしまうとネタバレになってしまうので割愛するが、この映画を見たあと僕は泣いた。

とても心地よい涙であり、暖かな感情に包まれ、人生というものがいかに偉大か、そして奇妙なものかを改めて感じた。

この感情体験をまだ見ていないあなたにもしてもらいたい。

 

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