全財産3円からの逆襲

ほぼ一気読みでした。

この小説、波に乗り出すとページをめくる手が止まりません!

全体的な感想としては下巻の中盤からいつ破滅がくるのかハラハラして読んでましたね。

1.全財産3円のホームレス

 

主人公は全財産3円のホームレス。

なぜホームレスになったかというのは本編で確認してください。

とにかく、ホームレスの描写が長い長い。というか、寒いという描写が多い多い。

過酷な生活状況を書きたいのだと思うけれども、少々現実味がないようにも思えた。

だが、話しが動き出すとそう思っていたのなんて二の次になる。

とにかくあれよあれよという間に展開していく。

そして、登場人物たちのキャラがとても立っている。これだけの長編で主軸をたった3人で持たせるというのはすごいなぁと感心しました。

肝心の文体ですが、僕は読みやすいと思いました。

レベル的には山田悠介よりもレベル20ぐらい上で東野圭吾よりもレベル5ぐらい下かなというぐらいですね。

あまり小説とか読まない人にも読みやすいと思います。

2.世間に逆襲を

 

ホームレスの目線からこの社会を見ると、まったく違うものが見えてくるのだと思います。

主人公は自分がホームレスになり、生きていくために磨り減ったプライドを少しづつ捨てることに葛藤します。けれど捨てなきゃ生きていけない。

もし自分がホームレスだったら・・僕もきっとプライドを捨てるのに苦労するだろうなぁ。

さて、主人公はホームレス生活ではじめて寝床になる公園を発見するのですが、そこにはすでに住民が。

この出会いをきっかけに物語は転がっていきます。

そして、ある計画を立案する。

それは金を稼ぐことを目的とした新興宗教の設立。

信仰心など欠片も持ち合わせない主人公はただ金を稼ぐためだけに行動を起こします。

STEPアップといいますか、成り上がりといいますか、きっと男なら誰もが好きな設定でしょう。

だって3円から巨額の金を動かすまでになるんですからね。

3.そして結末へ

 

オチはまぁ予想していたとおりでした。

特に腑に落ちないところもなかったし、とても楽しめたと思います。

ただ、伏線というか「伏線らしきもの」が結構でてきていたのでもっと活用できたのでは?とどうしても思ってしまいますね。

読み応えは抜群でした。

でも、欲をいえば伏線を回収した上でどんでん返しのひとつふたつ欲しかったですね。そうすれば伝説になるレベルだったと僕は思いました。

 

すみません、ちょっと言いすぎました。伝説にはなりませんね(笑)